全駐労の活動
全駐留軍労働組合について
敗戦直後の廃墟と混乱の中で、基地労働者は自らの生活を守るために労働組合を結成し、爾来、70余年にわたって教科書のない困難かつ厳しい闘いに耐え抜き、今日の雇用制度や臨措法、賃金、労働条件を獲得してきました。
その後、米軍に直接統治されていた沖縄にあって、過酷な差別と弾圧に抗して結成された「全軍労」と1978年に組織統一を果たし、新全駐労として基地労働者の雇用と生活、権利を守る砦として歴史を刻んできました。
時代は21世紀に移り、基地労働を取り巻く環境が益々厳しくなる最中においても、全国でストライキや座り込み行動を貫徹して、国内法令遵守や米軍再編に関わる雇用確保の重点諸課題などの実現に向け取り組んで参りました。
これからどのような歴史的な転換期が来ようとも、過去に学びつつ新たな改革課題に取り組む姿勢を堅持し、信頼される全駐労運動を目指して邁進して参ります。
組織の目標
わたくしたちは、平和と民主主義擁護、公平・公正、人権と環境をたいせつにする社会を創造する。
わたくしたちは、日本国憲法の基本理念と博愛の精神を尊び、市民・国際社会に広く貢献する。
わたくしたちは、働くものがゆとり、ゆたかさを実感し、安心して生活できる社会を希求する。
わたくしたちは、雇用の確保と労働条件・労働基本権の拡充、相互扶助、文化活動を推進する。
労務提供に関する日米間の労務契約
日本と米国の両政府間で、米軍基地で勤務する従業員の給与、雇用条件、経費負担等に関する取り決めで、「基本労務契約」「船員契約」「諸機関労務協約」があります。
「基本労務契約」(MLC=Master Labor Contract)
米国歳出予算で運営される在日米軍の業務に従事する事務職、技術職、技能職、警備、消防等の従業員を対象とする契約。
「船員契約」(MC=Mariner`s Contract)
在日米軍の非戦闘用船舶業務に従事する船員である従業員を対象とする契約。
「諸機関労務協約」(IHA=Indirect Hire Agreement)
在日米軍の諸機関(地位協定第15条に基づく機関。米国の歳出予算とは独立した米国歳出外資金機関)に従事する施設内の事務職、技術職、技能職等の従業員を対象とする協約。
【全駐労が1991年から闘い取った要求課題】
1.産前産後の完全有給化(多胎妊娠産前休暇10週間、産後休暇8週間が有給に)(1991年) 2.育児休業制度(1992年10月適用) 3.配偶者忌引休暇を6日から7日に改善(1991年) 4.試用期間従業員の傷病休暇が有給(1991年) 5.夏期休暇(3日間)制度の実現(1991年) 6.枠外号俸の定期昇給額固定化の廃止(枠外号俸定期昇給額の増額)(1992年) 7.全等級上位3号俸の定期昇給期間を18ヶ月から12ヶ月に短縮(1992年) 8.MLC・IHA間の転任(トランスファー)問題を解決(1992年) 9.永年勤続表彰対象を40年に拡大(1992年) 10.定休日と軍祝日が重なった時の振替休日実現(1993年) 11.休日や祝日給の割増率の改善(1994年) 休日・祝日勤務 100%→135% 時間勤務 100%→125% 12.時間調整給 100%→125%(1994年) 13.住居手当資格規制撤廃(同居家族が他から受給していない証明)(1994年) 14.基本給表1の2、3等級の最高号俸を5年連続で1号俸アップ(1995年~1999年) 15.父母の追悼休暇(1995年) (父母の死亡後15年まで、父母1人につき年1日の有給、ただし死亡後1年は年2回以内) 16.骨髄液ドナー休暇(有給)の新設(1995年) 17.駐健保互選議員への管理休暇の付与(1995年) 18.試用期間従業員への年次休暇及び夏期休暇の適用(1995年) (30日暦日の期間につき1日の休暇、3日間の夏期休暇) 19.年末・年始の祝日休を3日間追加(12月29日、30日、1月3日)(1995年) 20.特殊作業手当の増額(公務員なみに改善)(1996年) 21.介護休業制度の実施(1997年12月15日より適用)(1997年) 22.夏期休暇取得期間の拡張(7月~9月を5月~9月に)(1998年) 23.駐留軍関係離職者等臨時措置法の再延長(1998年3月31日成立) 24.傷病休暇の無給期間6ヶ月を1年6ヶ月に延長(1999年12月29日調印) 25.60歳定年後の再雇用制度(高齢従業員制度)を新設(2001年11月1日) 26.多胎妊娠産前休暇を10週から14週に延長させる(2002年8月) 27.OWEX従業員のMLCへの転任応募問題を解決(2003年) 28.業務上災害・通勤途上災害の上積み補償として「特別援護金制度」を実現(2003年) 29.駐留軍関係離職者等臨時措置法の再延長を実現(2003年4月) 30.育児介護休業の勤務時間短縮の延長(2003年) 31.母性保護規定の契・協約への明記を実現(2004年) 32.高齢者雇用制度を制定(2006年5月) 33.妊娠中及び出産後の有害業務の勤務制限(2007年6月13日) 34.育児休業期間の延長 1歳→1歳6ヶ月(必要と認められる場合)(2007年6月22日) 35.介護休業の取得回数の制限緩和(変更)(2007年6月22日) 36.子の看護休暇(無給の5日間)の新設(2007年8月30日) 37.年次休暇の翌年繰越制度の実現(2009年より適用)(2008年3月28日) 38.常用パート従業員に住居手当を支給(2008年6月12日 日米間で調印) 39.業務上災害・通勤途上災害の労災補償給付(80%)に加え、「休業特別援護金」として法定 外給付(20%)の支給実現(2009年3月14日より適用) 40.裁判員制度で選任された従業員が裁判に出席する場合、有給管理休暇を付与(2009年5月) 41.通勤途上災害による傷病休暇期間及び退職手当の算定期間等は、業務上傷病と同様な扱いと することの実現(2009年7月30日 日米間で調印、同日実施) 42.限定期間従業員及びHPT(時給制臨時従業員等)の年次休暇及び育児・介護休業制度の適 用、限定期間従業員の雇用期間を最大で2年間とする(2010年1月1日より適用) 43.月60時間を超える時間外勤務に対する時間外勤務給の支給割合の引き上げ 125%又は135%から150%に引き上げ(2010年4月1日より適用) 44.外国旅行における旅費の増額改正(2011年4月1日より適用) 45.特別援護金制度の支給対象疾病に「石綿を原因とする疾病」を追加させる (2012年4月1日より適用) 46.駐留軍関係離職者等臨時措置法の再延長(2013年5月10日成立) 47.改正育児・介護休業法を駐労に適用させる(2013年10月1日より適用) 48.年次有給休暇の翌年自動繰越を制度化させる(2013年10月1日より適用) 49.復職保証を含む組合役員の「在籍専従期間」の延長(最高7年)(2016年2月8日調印) 50.社会貢献休暇(無給)の新設(2016年2月8日調印) 51.自己啓発等休業(無給)の新設(2016年2月8日調印) 52.祝日の3日追加:2016年度、2018年度、2020年度に1日ずつ追加 (2016年度「山の日」、2018年度「従業員の誕生日」、2020年度「海の日」) 53.特別昇給制度の導入:2017年1月1日から勤務成績が良好な常用従業員の20%にさらに2号俸昇給させることができるとする制度を導入 54.ほう賞:特別昇給制度の導入に伴い優秀成績ほう賞と目的が重複することから、2016年度は、予算(案)額8700万円で実施 55.AAFES高齢従業員のパート化問題の解決:定年以前にフルタイムであったすべての高齢従業員について、2016年4月1日以降に再雇用される際はフルタイムに戻す 56.子の看護休暇及び介護休暇の一部有給化:2016年度に、子の看護休暇(3日)、介護休暇(3日)をそれぞれ有給とする 57.育児・介護休業制度改正(2017年8月18日調印):分割取得1回から3回まで分割取得可能となる。取得期間は93暦日から6ヶ月等改正実施 58.改正育児休業法に伴う契協約改正の付属協定調印(2017年10月31日)子が1歳6月になる前日において、育児休業の用件を満たす場合で、一定の要件に該当する場合は、最長2歳の前日までの間、無給で育児休業を与えられる 59.2014年度の給与改定における基本給経過措置(減給補償)期間を1年間延長させる (2018年3月5日調印) 60.駐留軍関係離職者等臨時措置法の再延長(2018年4月6日成立) 61.有期雇用(HPT等)従業員で5年を超えて勤務する従業員を無期転換(IHA常用従業員への実現。)HPT制度改正が調印される(2018年4月10日) 62.HPT制度改正により、勤務時間、休暇、給与の適用。通算雇用期間を上限3年に制限 63.警備・消防職に従事する従業員が職務の遂行により、万が一死亡した場合における特別措置として特別援護金制度が拡充される(2019年3月14日適用開始) 64.ほう賞休暇の新設(2019年4月1日)オンザスポットほう賞休暇は、特別な行為又はサービスが認められた従業員に対し、翌月1日に1回につき4時間以上8時間以内(累積16時間を超えない範囲)で付与。勤務成績ほう賞休暇は、優秀な勤務成績を認められた従業員に対し、各年1月1日に、16時間から40時間の範囲で付与される。オンザスポットほう賞と勤務成績ほう賞休暇の合計は一暦年又は一契約年につき48時間が限度。